48km Penny

2年程前、Penny Skateboard(ペニー・スケートボード)で48kmの距離をクルージングしてみた。以前から徒歩や自転車で行った場所にPennyというスケボーを使って行ってみたのである。距離が少し延びたのはスケートボードのやりやすい道を選んだからである。スケートボードを移動手段にすることは日本では一般的ではないが、欧米の都市部ではクルーザータイプのスケートボードの認知度は高い。

Pennyとはスケートボードのブランド名で、小型で軽量で持ち運びやすく、走りは静かで伸びがあってクルージングに適した品質となっている。小さいためトリックには不向きだが乗り心地は大変良い。価格は1万円前後。

私はスケートボードはペニーが初めてだ。ローラースケートなら子供の頃に流行り毎日それで遊んでいた時期があるが、いわゆる横乗りのスノーボードやサーフィンなどはやったことがない。きっかけは、長距離を歩いている時に、緩やかな下り道ではローラースケートみたいなもので滑れば早いし気持ちいいだろうなあと思ったのが始まりだ。そういうもので歩きながら携帯できるものはないかなあと。

早速ネットで調べると、ミニクルーザーのPennyというスケートボードがあるのを知った。Pennyの同等品にStereo社のVinylCruiser(バイナルクルーザー)もあったが、YouTubeを見るとPennyの方が圧倒的に参考動画が多いので迷わずPennyを購入。

42歳にして初めてスケートボードに乗った。評判通りの滑らかさで、最初はデッキに両足で立つだけでも苦労した。練習開始数分で大転倒しスケートボードの洗礼を受けた。肘を強打し激痛に耐えながらデッキへの乗り降りから始めて、次にプッシュの練習をした。日を重ねるごとにだんだんバランスがとれるようになり、足を置く場所や体重のかけ方も分かってきて転倒への恐怖心はいつしか消え、滑ることの楽しさが増していった。

ポンピングで前へ進めるようになってからは、まるで水面を進むような感覚を覚え感動した。Pennyでクルージング(巡航)をする、という表現は間違っていない。緩やかな下り道で右に左にターンしながら風を受け、静かにのんびりと滑ればとても心地よい。Pennyの醍醐味はいろんな景色の中を風を切りながら滑り抜けていくことだと思う。

購入して2ヶ月経った頃、以前徒歩で往復13時間半かかった場所へPennyで行ったところ往復7時間で行け、身体の疲労感も半分以下で、一番良かったことは徒歩で行った時の足の痛みが無かったことだ。長距離を歩くと身体の不具合がどこかに現れるものだが、Pennyを使った場合はかなり軽減された。

上り坂や急な下り坂、デコボコの道、人の往来の多い道ではPennyは使えない。それ以外の平坦か緩やかな下り坂で使用した。上りやデコボコ道では使えないし、急な下り坂では危なすぎる。人や車の往来の多い場所でのスケートボードは道路交通法違反となる。(道路交通法第76条第4項第3号の違反<道路における禁止行為>「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」)

Pennyの使えない道では手に持って歩くわけだが、重量は1.9kg程で短時間なら苦にはならなかった。しばらく乗らない場合は背中のナップサックに引っ掛けておいた。

家から目的地まで24km、標高差約30mで行きは下っている分プッシュの伸びがある場所が多く3時間で到着。帰りは僅かとはいえ上り坂であるため4時間かかった。ルートはGoogleマップでよく練った。スケートボードを使用するには平坦な道で人や車の往来が少ない道を選ぶ必要がある。徒歩では歩きたい道を行けばいいがスケートボードを快適に使うには道は選んだほうがいい。

幸いにも家から目的地までの間にはいくつもの川があり、堤防沿いや河川敷の舗装道路という平坦で交通量の少ないルートを選べた。さらに極力人通りを避けるため、午前3時に出発した。人々の奇異の目にさらされる時間も少ないほうがいい。

Pennyの7時間は楽しかった。クルーザータイプのスケートボードは足がわりになる。歩きたい時はデッキから降りるだけという手軽さがいい。この日、Pennyは完全に私の移動手段の一つとなった。

今では時々幼稚園に通う我が子のキックスクーターと一緒に、Pennyに乗って楽しんでいる。



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